ポータブル電源の仕組みと自作する方法【いざという時に役立つポータブル電源】
釣りやキャンプや車中泊など、海や山などのアウトドアを楽しむ方が多くなってきました。
アウトドアで重宝するもといえば、ポータブル電源です。
ポータブル電源は、アウトドアだけでなく停電などのときにも非常に役立ちます。
ポータブル電源があれば、スマホの充電やテレビ、扇風機など消費電力の少ない家電を動かすことができます。
この記事では、ポータブル電源の仕組みと自作する方法について説明します。
目次
想定するポータブル電源の使用方法
- 放電の方法
-
充電済のポータブル電源をインバーターにつないで、100V(ボルト)の電気製品を使用する。
- 充電の方法
-
AC充電器を使って、直接バッテリーを充電する。
という使い方を想定します。
ポータブル電源に表示される単位の見方
電気に詳しくない方のために、電気の単位について簡単に説明します。
単位 | 読み | 意味 |
---|---|---|
電圧(V) | V(ボルト) | 電圧の高さ |
電流(A) | A(アンペア) | 電流の大きさ |
電力(W) 消費電力=電力 | W(ワット) | W=V×A |
電力量(Wh) | Wh(ワットアワー) | 時間当りの電力量 |
Ah | Ah(アンペアアワー) | バッテリーなどの電流容量 |
- W(ワット)とは
-
電気製品などの消費電力(単に電力ともい言う)を示します。
たとえば、このテレビの消費電力は「100W」などと言う。消費電力=電圧×電流
つまり、「W=V×A」です。たとえば、消費電力「100W」のテレビは
100V(電圧)×1A(電流)で
コンセントに「1A」の電流が、流れていることになります。 - Wh(ワットアワー)とは
-
電力量を表し、「電力と時間」を掛け算したものです
たとえば、100Whの場合には
「100ワットの電力(電気)を、1時間使える」
「50ワットの電力(電気)を、2時間使える」
と言うことです。ポータブル電源の容量はWhで見るとわかりやすい。
- Ah(アンペアー)とは
-
電流×時間
たとえば、バッテリー容量が100Ahの場合には
「1時間に100Aの電流を取り出せる容量」
「2時間に50Aの電流を取り出せる容量」
と言うことになります。
ポータブル電源の仕組み
ポータブル電源とは
ポータブル電源とは、バッテリー(蓄電池)の直流の電気を交流の電気に変換して使用する電源です。
「直流12V」から、家庭のコンセントに来ている電気と同じ「交流100V」を作ります。
交流100Vの電気にすることで、テレビなどの電気製品を使用する事ができるようになります。
ポータブル電源に必要なものは
- バッテリー
- インバーター
- 充電器
が必要です。
ポータブル電源の配線図
図は、ポータブル電源の配線図です。
バッテリーとインバーターを、電線で接続した回路です。
- 配線方法
-
- バッテリーのプラス端子とインバーター入力のプラス端子を接続する。
- バッテリーのプラス端子とインバーター入力のマイナス端子を接続する。
以上です。
配線自体は非常に簡単です。
注意点は、プラスとマイナスの端子の接続に注意することです。
- インバーターから交流100Vを使うには
-
- インバーターのスイッチを入れます。
- 出力端子に電気製品を接続すれば、電気製品を使用することができます。
バッテリー(蓄電池)
ポータブル電源のバッテリーとして、最適なバッテリーはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーです。
- リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの特徴
-
リチウムイオンバッテリーの中で、最も安全性が高いことです。
熱安定性が高く、衝撃などにも強い。
充放電サイクル回数が、数千回と非常に長く使える。
原材料が安価なため、安く製造できる。
使用温度も、-25℃の低温下でも使用可能です。
蓄電池は使用していなくても、自己放電で電池の容量が減ります。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの、自己放電率は月に1%程度と少ない。
そのため、長期間放置しても十分な電気を使用することができる。
鉛蓄電池などは、自己放電率が月に20%程度とされています。
- デメリット
-
他のリチウムイオンバッテリーと比べて、エネルギー密度が低いこと。
最近のポータブル電源のバッテリーの傾向
以前は、三元系リチウムイオンバッテリーを、使用するポータブル電源が主流でした。
現在はリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使用する、ポータブルバッテリーが主流になっています。
その理由は
消費者が、安全性を重視する傾向にあります。
過去に一部のスマホの発火事故や、EV(電気自動車)の火災などの例が見られます。
そのため、安全性が最も高い、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーが使用されています。
インバーターの説明
インバーターは、直流から交流を作る装置です。
直流から家庭のコンセントに、来ている電気と同じ交流100Vに変換します。
インバーターの選び方
インバーターの種類は多く、価格や性能が製品によって様々です。
インバーターを選ぶときは、次のポイントを見て選ぶことです。
- 正弦波(サインウェーブ)の製品。
純正弦波と表示される製品もある。 - 疑似正弦波のものは避ける。
- 周波数(周波数切替のあるもの、または、使用する電気製品に合ったもの)
- インバーター容量は、大きめなものを選ぶ。
正弦波(サインウェーブ)
インバーターが出力する交流の電気の種類は、正弦波を選びましょう。
正弦波(サインウェーブ)は、家庭のコンセントに来ている電気と同じ種類の交流の電気です。
正弦波は純正弦波と、表示される場合もあります。
この波形の交流の電気は、家庭のコンセントに来ている電気と同じなので、電気製品に使用しても安全です。
疑似正弦波
疑似正弦波は、交流の波形に似せた交流になっています。
家庭のコンセントに来ている電気とは、違います。
疑似正弦波の波形の交流の電気は、電気製品に使うと壊れる場合がありますので注意が必要です。
疑似正弦波で使用することができるのは、電気製品の回路に電子部品が使用されていないものに限られます。
たとえば、熱を出すだけのニクロム線の電熱器などです。
テレビや扇風機などに使用すると、壊れてしまうことがあります。
矩形波
疑似正弦波をさらに簡素化した波形で、波の形が四角形になっているので矩形波(方形波)と呼ばれる。
周波数
インバーターの周波数は、50Hz(ヘルツ)と60Hzがあります。
使用する地域に合った周波数を選ぶ必要があります。
東日本は50Hzで、西日本は60Hzです。
ただし、現在の電気製品の多くが、50Hzと60Hzの両方に対応しています。
インバーターに、50Hzと60Hzの周波数切替ができるものもあります。
インバーターの容量はどれ位必要か?
電気製品の使用する電力は、スイッチを入れた時と時間が経って電力が安定した時では、まったく違ってきます。
- 電気製品の消費電力を500W程度と想定する時
-
インバーターの容量は、800W以上が必要
- 電気製品の消費電力を1000W程度と想定する時
-
インバーターの容量は、1500W以上が必要
というように、インバーターの容量は多めに見た方が無難です。
容量1280Whのポータブル電源を作る
既製品の「BigBlue Cellpowa500 ポータブル電源 リン酸鉄リチウムイオン電池 ( LiFePO4)」を持っています。
500Whの電力量がありますが、電気製品を使うのには不足気味です。
テレビや扇風機などは動作します。
どうせ作るなら、1000Whクラスのポータブル電源がほしい!
ポータブル電源の自作に必要なもの
- バッテリー
- インバーター
- 充電器
の3つです。
おすすめのバッテリー
安全性を重視して、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの一択です。
12V 100Ah で 1280Wh のバッテリーを使います。
おすすめのインバーター
インバーターを選ぶポイント
- 純正弦波のインバーターであること
- 1000W(ピーク時 2000W)あるいは、1500W(ピーク時 3000W)のもの
- 使用している電気製品の周波数と合っているインバーター
- 各種保護回路やPSE認証があること
- あると便利な機能
-
液晶ディスプレイで、電圧や電力などが表示できるもの。
周波数切替があるもの。
YITRANIC インバーター 12V 100V 正弦波 1500W DC AC 変換 瞬間最大 3000W 50Hz 60Hz切替可 5mリモコン USBポー
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作成手順
作成手順と言っても、バッテリーとインバーターを電線で接続するだけです。
- バッテリーのプラス端子に、赤色の電線を接続しボルトで締め付けます。
絶縁キャップをボルトにかぶせます。 - 赤色の電線のもう一方を、インバーターのプラス端子に接続してナットで締め付けます。
- バッテリーのマイナス端子に、黒色の電線を接続しボルトで締め付けます。
絶縁キャップをボルトにかぶせます。 - 黒色の電線のもう一方を、インバーターのマイナス端子に接続してナットで締め付けます。
- インバーターのマイナス端子に、電線を接続するときに「火花」が出ます。
これは、インバーターのコンデンサに、電気が流れるためです。
異常なことではありません。
ポータブル電源を自作するときの注意点
ポータブル電源を自作するときの注意点は、バッテリーとインバーターを接続する電線の太さが重要です。
電線の太さが重要
電線の太さは、許容電流(電線に流せる電流の量)の大きさに関係します。
- バッテリーの容量が電圧12V 100Ah の場合
-
バッテリーとインバーターを接続する電線には、100A(アンペア)近くの電流が流れます。
細い電線では、熱を持ったり、焼き切れてしまうこともあります。
許容電流に十分な余裕がある、太さの電線を使うようにすることが重要です。
バッテリーとインバーターの接続の注意点
バッテリーとインバーターの端子接続には、圧着端子を使った電線でしっかり接続することが大切です。
接続端子の止め方
- 接続端子の止め方のポイント
-
バッテリーやインバーターの端子の近くに、電線を止めること。
端子から遠くなる順に止めると、それだけ抵抗が大きくなることが考えられます。
大電流が流れる回路では、抵抗の大きさが非常に重要です。
電流の2乗に比例して、損失が大きくなります。
ポータブル電源の充電
ポータブル電源に充電するには、専用の充電器を使うのが簡単です。
14.6V 電圧で「10A 充電器、20A 充電器、40A 充電器」などがあります。
- 12V 100Ah リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを充電する場合
-
10A 充電器で約10時間
20A 充電器で約5時間
40A 充電器で約2.5時間 という目安になります。
充電器紹介
品名 | 価格 |
---|---|
LiTime 14.6V10Aリン酸鉄リチウムイオンバッテリー充電器 | 17,999円 |
Ampere Time 14.6V20A リン酸鉄リチウムイオンバッテリー充電器 | 19,999円 |
LiTime 14.6V40Aリン酸鉄リチウムイオンバッテリー充電器 | 35,000円 |
LiTime 14.6V40Aリン酸鉄リチウムイオンバッテリー充電器 12V リン酸鉄リチウムバッテリー専用 ディスプレーとLEDインジケーター付き AC-DCスマートチャージャー 12.8V LiFePO4用 40A急速充電 PSE認証取済
Litime